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出展作家
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杉浦 公治
Koji SUGIURA
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杉浦公治は字を文字として認識しているというよりも絵として見ているのではないか。四隅を自分で切り取った看板のような形態の段ボール紙にマーカーで看板や広告の商品名やコピー文字を描いていく。そしてその部分には時々、色面が塗られ文字の意味というより妙に視覚的で断片的な世界だ。彼は目に映りこむ興味をもつ言語・形態を記憶していくようなのだが、それは広告のキャッチコピーや商品名などで、それが彼の興味を持つことのできる世界そのもののようなのだ。
意味とイメージの間を縫って出来上がる広告やキャッチコピーの世界は狭く奇異だが、隠された別の世界の存在を予感させる。そしてそれが集積されるとまさしく「世界」が立ち現われてくる。
彼の視覚に映る世界はどうなっているのだろうか。「私の見ている世界が本当に他者の見ている世界と同じなのか、重なっているのか、それとも全く異なっているのではないか」ゲシュタルトの崩壊のような感覚、彼の作品を見ているとそんな不安と他者の秘密を覗き見るような快感とこわさが同時に訪れてくる。
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田中 悠紀
Yuki TANAKA
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田中悠紀は、主に彼女が暮らすケアホームで飼っている犬の茶太郎を繰返し描いています。愛らしく魅力的にキャラクター化された茶太郎は赤や緑や青のモノクローム、ときにカラフルな色彩によって表現され増殖され重ねられていきます。
するとそこには線と面が絡まり抽象絵画のようなリズミカルで魅力的な画面が生まれます。それは不思議なことにひとつのモティーフ に固執することによって生じがちな狭いイメージではなく、宇宙全体を感じさせる開かれたイメージになります。
視覚的には茶太郎というキャラクターに固執し続けているように見えますが、実は内的な意識においては茶太郎から離れ、より広く開かれた場所を模索し続けているようです。彼女の画面を見ると心が軽くなり、癒しに似た不思議な解放感に包まれます。
それは彼女にとって描く行為は、世界に対する愛あるいは信頼を表現する行為だからでしょう。田中悠紀の絵画作品は彼女そのものでありすべてでもあるように感じられます。
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渡邉 あや
Aya WATANABE
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渡邉あやさんの絵を見ると軽い眩暈を感じます。
たとえば、時計が密集する虫たちのように画面いっぱいに描いてあります。飛行場と停まっている飛行機が色鉛筆によりコントロールされた強い筆圧で丹念に塗りこめられている。それは過度な密度と集中によって建築物のような構築性を感じる世界です。
でもその世界は安定しているようでどこか、不安定な迷路のような奥行きを持って迫ってくるのです。よく見れば画面の中にさらに画面があり、別な世界が現れ、様々な夢見の世界につながり、飛行場から想像力が飛び立っていくようです。
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*作家紹介テキスト:工房集アートディレクター 中津川 浩章
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